豊かな自然を感じるチーズ
~黒松内町特産物手づくり加工センター トワ・ヴェール~

白い滴のマリアージュ

今回のテーマ

豊かな自然を感じるチーズ
~黒松内町特産物手づくり加工センター トワ・ヴェール~

昔、出稼ぎの漁夫を慕ってきた妻たちが、この地でシケに遭い、そのまま滞留したという言い伝えから、町名はアイヌ語の「クル・マツ・ナイ」(和人の女のいる沢)に由来しているという「黒松内町」。
札幌から、函館へ向かう国道5号を走って、約2時間40分。牧草地の中にぽっかりと浮かぶヨーロッパのお城のような建物が、黒松内町特産物手づくり加工センター「トワ・ヴェール」。
ブナの北限地として知られる黒松内町は、酪農や畜産が盛ん。「トワ・ヴェール」は、1993年より町が地域の物産品加工センターとして、チーズやアイスクリーム、ハム・ソーセージなどの製造設備を整え、レストランも併設している。

ミルクの風味とほどよい表皮の白カビのコクのバランスがよいカマンベール。大理石模様が美しく、青カビの風味が強すぎず、優しさが伝わるブルーチーズ。
工房にお邪魔したとき、工場長の中原さんが、サイコロ状にカットしたクリームチーズに、刻んだネギにかつお節、そして醤油をかけて出してくれた。食べ方の提案に「えっ!」と思ったが、口にひとつ運ぶと、ほどよい酸味が和風の食材とぴったりで、相性の良さと、日本の食卓で食べてもらいたいという思いのこもったアイデアに驚かされた。
ブナの森がもたらす清らかな水で育つ黒松内の牛たち。その高品質な生乳のポテンシャルを余すところなく形にしようと、日々研鑽を続けている工房スタッフ。その日の気候により、生乳に加える酵素の量も微調整しているそうだ。
「万人受けする食べやすさより、欧州に近い本格的な味を」。「量産できる技術の平準化とともに、おいしさを磨いていきたい」。「トワ・ヴェール」の進化は続いている。

チーズの紹介:ホワイトブルーチーズ
中を青カビ、外皮を白カビの力で熟成させたこのチーズは、「他にはないものを」と生まれた工房の原点。クリーミーかつ、青カビと白カビの複雑なハーモニーが抜群。青カビチーズが苦手な人にも「これなら食べられる」と評判であるとともに、白ワイン、特に北海道でも栽培が多いミュラー・トゥルガウなどの白とあわせると、ワインもチーズもすすんでしまう。
 
< 黒松内町特産物手づくり加工センター トワ・ヴェール >
〒048-0125 北海道寿都郡黒松内町目名152-4
https://toitvert.shop