Vol.27
北海道三笠
高等学校
調理部のみなさん

わたし × 農業

私が農業に恋した理由
北海道の高校、専門学校、短大、
大学では、たくさんの学生さんが
農業を学んでいます。
農業のどんなところが魅力?
学んでみて知った醍醐味は?
好きだけど大変と感じることは?
青春ど真ん中の日々での実感、
将来の夢などを聞いていきます。

北海道三笠高等学校

北海道三笠高等学校 調理部のみなさん

2012年4月、三笠市立の高校として開校した、食物調理の学科を設置した道内唯一の公立単科高校。必要単位の取得によって調理師免許を取得できる調理師コースと、洋菓子を中心に、徹底した基礎・基本の積み重ねで実践力を養う製菓コースがあります。また、部活動である調理部では、高校生レストランの運営のほか、全国及び全道的な料理コンテストに毎年多数入賞するなど、その活躍が注目されています。

北海道三笠高等学校
068-2107 三笠市若草町397番地
https://www.city.mikasa.hokkaido.jp/highschool
TEL:01267-4-2200

  • 調理部のみなさん

    調理部のみなさん

  • 伊東さん

    伊東さん

  • GREEN編集室

    GREEN編集室

GREEN編集部 こんにちは。ジオパークや鉄道村、桂沢湖などで知られる三笠市にある三笠高校は、食のプロフェッショナルを育てる学校として全国に知られ、部活動である調理部の盛んな活動の様子はメディアでもよく取り上げられています。

調理部のみなさん はじめまして。調理部には1年生から3年生まで48名の部員がいて、週末に校内の研修施設「ESSOR(エソール)」で営業している高校生レストラン「まごころきっちん」の運営を中心に、商品開発、料理コンクールへの挑戦などに取り組んでいます。

GREEN編集部 さっそくですが、「まごころきっちん」のことから教えてください。部員が運営しているとのことですが、調理以外もですか?

調理部のみなさん はい。授業では学ぶことのできないコスト管理、接客も含めて、部員たちが実際の飲食店と同じように切り盛りしています。食材発注では、「まごころきっちん」は週末のみの営業で、余すとロスに直結するため、使い切れる量をよくよく計算しています。

GREEN編集部 ここが「まごころきっちん」なんですね。広くて、窓から日差しが入って、いい雰囲気ですね。おすすめメニューを教えてもらえますか。

調理部のみなさん イチオシは、三笠市をはじめとした北海道の旬の食材を使用している「青春御膳」です。内容は多少変わっても、「まごころきっちん」開店当時から変わらない味を受け継ぎ、提供している定番メニューです。料理に青春をかける私たちのこだわりがつまった御膳です。

GREEN編集部 おいしそうな料理が何種類も詰められていますね。

調理部のみなさん はい。特に人気があり、私たちにとっても自慢の料理が「白和え」です。おいしいから自宅でも食べたいとおっしゃってくださったお客さまがいて、自宅でも作れるようレシピをお伝えしたところ、とても喜んでくださり、笑顔でお帰りになりました。あの時は、「まごころきっちん」をやっていてよかったなと、部員みんながうれしい気持ちになりました。

GREEN編集部 お客さまは感激されたでしょうね。せっかくですから、ほかにもメニューを見せてもらえますか。

調理部のみなさん 写真の上は、「エゾ鹿肉としいたけのステーキ弁当」です。ジビエは臭い、硬いというイメージが強いですが、それを一新できる仕上がりだという自信があります。下の左は「牛丼定食」、右は「彩りばらちらし弁当」です。この他、「角煮丼定食」も人気ですし、「漬物語り」という三笠産玉ねぎを使用したお漬物も開発しています。

GREEN編集部 どれも食べてみたいです。お客さまの感想は聞こえてきますか。

調理部のみなさん おかげさまで、おいしいとほめてくださる方が結構いらっしゃいます。生産者さんがおみえになることもあり、そういう時はとても緊張します。料理する私たちは、生産者さんがあってこそ仕事ができるので、生産者さんの声はたくさん聞きたいと思っています。

GREEN編集部 印象に残っているお客さまはいますか。

調理部のみなさん 高齢のご夫婦が札幌からバスで来てくださったのですが、すでに営業が終了していて、お気持ちに応えられないことがありました。おばあさまは泣き出してしまい、あのときは本当に心苦しかったです。

GREEN編集部 いろいろな経験を重ねているんですね。部員のみなさんが、料理のコンクールなどに積極的に参加しているのは、自身の腕を磨くためであるとともに、さまざまなお客さまの期待に応えるためでもあるんでしょうね。

調理部のみなさん 一人ひとりがそれぞれの目標に近づくために、コンクールには積極的に挑戦しています。ここで、昨年の「牛乳・乳製品利用料理コンクール」で金賞を受賞した2年生、伊東寛太くんを紹介させてください。

伊東さん こんにちは。伊東です。僕は調理に対する感じ方、思考を学びたくて、三笠高校に進学しました。コンクールは、自分でイチから考えて料理を創造し、表現できる数少ない機会なので大切にしています。金賞を受賞した料理は下の写真にある「豆腐チーズガパオライス」で、牛乳や乳製品をより広く普及させるためには、簡単なものがいいと思い、レシピを作り始めました。チーズを入れても脂っぽさを感じないように工夫し、さらにガパオライスで通常使うひき肉を木綿豆腐に代えて、ヘルシーにまとめました。

GREEN編集部 調理するシーンや食べる人に対する想像力と、調理の発想の豊かさが伝わる説明ですね。授業や「まごころきっちん」での実践的な学びが生きていることを感じました。

調理部のみなさん 調理でいえば、面取りなどの細かな仕事でも丁寧に作業をして、より高いレベルの料理を目指したいですし、サービスではお客さまが考えていることの一歩先を見据えて接客したいなど、腕を磨かなければいけないことはいっぱいあります。

GREEN編集部 「まごころきっちん」の運営で、部員同士がぶつかることはありませんか。

調理部のみなさん 「まごころきっちん」は大人数で動かすので、サービスやお客さまとの接し方などで意見が割れることもあります。そうしたときは、顧問の斎田先生に相談して、アドバイスをいただいています。

GREEN編集部 料理のことに深くかかわっているみなさんが、「食」にまつわることで気になっていることはありますか。

調理部のみなさん 食品ロスの削減、地産地消の推進などがありますが、将来のことを考えると、食料自給率の低下が気になります。食料自給率の低下は食の欧米化も大きな要因と指摘されています。欧米型の食事をやめるのではなく、食事のたびに和食を一品用意するなど、無理なく続けられる工夫を日常に取り入れると良いと思います。

GREEN編集部 確かにそうですね。みなさん、とてもしっかりしていて、お話を聞いていて勉強になりました。今日はありがとうございました。