スターチス・
シヌアータ
Vol.01

おいしいの研究

スターチス・シヌアータ

vol.1

研究者:三上 翔平さん

研究者:三上 翔平さん

ホクレン農業総合研究所 作物生産研究部 園芸作物開発課。2018年のホクレン入会から花きをはじめ、カラーピーマンやトマトなど、ハウス内で育てる施設園芸作物の各種試験に従事。趣味は自作のおつまみとともに楽しむ晩酌。

今回は
「うつくしいの研究」をご紹介!

「おいしいの研究」と題し、北海道産農畜産物のおいしさへの取り組みを紹介する本シリーズ。今回はちょっと趣向を変え、花きの品種開発や栽培支援などに取り組んでいる現場へ。北海道が産出額全国1位(※)というスターチス・シヌアータに関する「うつくしいの研究」について、担当の三上さんにお話を聞きました。
※農林水産省「平成30年産花きの種類別、都道府県別産出(出荷)額」より

美しく見える部分は、花びらではない?

美しく見える部分は、
花びらではない?

スターチスにはいくつかの代表的な系統があり、今回紹介するスターチス・シヌアータはそのうちの1つ。日本で最も多く栽培されている系統で、仏花やアレンジメント用として広く流通しています。取材当日、三上さんは紫やピンクの切り花を用意して迎えてくれました。「この色のついた部分、花びらのように見えますが、実は萼(がく)なんですよ。スターチスは、萼を鑑賞する珍しい植物なんです」

なんと、それは最初から驚きです! でも、花びらはどこへ? 「近づくと萼の中に小さな白い花が咲いているのが見えますよね。ただ流通の段階で萎んで、見えなくなってしまうんです」。ではこうして花びらをはっきり見られるのは、なかなか貴重な機会なんですね。「はい、ちなみにたくさんの萼が密集したひとかたまりを、その形状からブラシと呼んでいます」

細かな色の違いは、品種開発の大きなポイント

細かな色の違いは、
品種開発の大きなポイント

ホクレン農業総合研究所では、これまでに4種類のオリジナル品種を開発。「今日はそのうち3つを切ってきました」と三上さんが指差したのは、いずれも紫色の切り花です。「すべて同じ色に感じるかもしれませんが、よく見ると違いがわかると思います。いわゆる紫色をしているのが『紫龍(しりゅう)』、青紫なのが『藍海(らんかい)』、そして紫というよりも青系またはラベンダー系と呼ばれる『空波(そらなみ)』です」

言われてみれば、たしかに微妙に色が違います。「それでもこれらははっきりと違うほうなんですよ。たとえば『紫龍』と『藍海』の間を埋めるように、たくさんの色の品種があります。生産者さんも色にこだわって育てる品種を選んでいますね。品種開発の際は、細かな色の違いを正確に記録するため、園芸植物標準色票(写真)と照らし合わせるのですが、ものすごい数の色票からピタッとくるものを選ぶのは、なかなか大変な作業でもあります(笑)」

求められるのは、背が高く枝数の多い品種

求められるのは、
背が高く枝数の多い品種

これまで「おいしいの研究」では、野菜や穀物などの品種開発に関するお話を聞いてきました。そのなかで、おいしさはもちろん、収量や耐病性の向上も重要な目的として挙げられることが多かったのですが、花の品種開発では色のほかに何が重視されるのでしょう。「耐病性も大切ですが、いちばんは高規格の花をたくさん採ることができる性質だと思います」

高規格というと? 「青果物と同じように、花にも規格があります。スターチスの場合、私たちが『北海道切花統一出荷規格』を参考に設定しているのは、根元から切った長さ(切花長・きりばなちょう)が70cm以上で『2L』、60cm以上で『L』、50cm以上で『M』。そして、メインの枝から分かれている枝の数(分枝数・ぶんしすう)が4本以上で『秀品』、3本で『優品』。これらの規格によって売値が変わるため、『2L』かつ『秀品』の切り花がより多く採れる品種が求められるわけです」

背が高く枝数の多い、ボリューム感のある切り花のほうが価値があると。「そうですね。また、生花店の店頭では、枝を1本ずつに分けて販売する場合もあるので、枝数が多いほうが効率が良いというメリットもあります」。なるほど、次に花屋さんに行った際は、スターチスの色やサイズをじっくりチェックしてみようと思います。さて後編では、各品種の評価方法などについてさらに掘り下げていきます!