Vol.11
よくねた玉葱
北海道の星みっつ旬食材
道内各地の生産者と太いつながりを持ち、北海道の農を熟知する塚田宏幸シェフが、今こそ味わいたい、おいしさ星三つクラスの食材を毎回ピックアップ。生産者や生産地のエピソードとともに、調理のヒントもお伝えします。
vol.11
よ く ね た 玉 葱

よ く ね た 玉 葱

旬のとれたて野菜を、呼吸を抑制させ、眠らせる「CA貯蔵」によって保存する「よくねた野菜」シリーズ。今回取り上げる「よくねた玉葱」は、収穫時とほぼ変わらないおいしさを保ったまま、道産玉ねぎの端境期に出荷されます。その使い勝手の良さなどを、シェフが語ります。

さようなら、
道産玉ねぎの端境期

一日として、玉ねぎを持たない日はない。そう言っていいくらい、玉ねぎは料理で最も頻繁に使う食材です。

 

北海道の寒暖差と日当たりの良さが幸いして、道産玉ねぎは辛く、硬く、重量感があります。包丁を入れれば涙が出てくる「泣く玉ねぎ」ですが、加熱すると辛みがとび、甘みとコクがでてきます。この変化が玉ねぎの真骨頂で、料理人はこの特徴を計算した上で料理の骨格を整え、腕を振るっています。

 

玉ねぎは、長く保管しておくとどうしても芽が出てきます。そして芽を伸ばそうと、養分を吸い上げるので、味は落ち、球のしまりがなくなって、皮のあたりから傷んできます。道産玉ねぎが出回る時期は、8月から翌年5月中旬。端境期に、玉ねぎに悩まされる料理人を助けてくれるのが、「よくねた玉葱」です。

 

3~5カ月間「CA貯蔵」され、芽や根が出ることを抑えた「よくねた玉葱」の魅力は、収穫時のクオリティを保持しているところ。道産玉ねぎの涙が出るような荒々しさが少し落ち着いた大人の味わいで、煮たり、炒めたりすると、とてもいい仕事をしてくれます。出荷時期は4月から7月で、道産玉ねぎがない時期をカバーしてくれるところも、頼りになります。

春には、新玉ねぎがあるじゃないかと思われるかもしれませんが、私はまったく別の食材だと考えています。新玉ねぎは芽ねぎのように軽く、優しく、みずみずしく、辛みが少なめ。生で食べたり、軽く蒸したりして味わうことに適していますが、加熱して甘みやコクを求めることはできません。たとえるなら、新玉ねぎは生まれたての子ども、道産玉ねぎや「よくねた玉葱」は大人の玉ねぎといったところでしょうか。

 

「よくねた玉葱」は、スープにするなら薄くスライスして、ハンバーグに使うならみじん切りにして、飴色になるまでゆっくり炒めると、甘みとコクを一層引き出せます。また、煮込みやカレーにも向いています。お料理好きの方なら、玉ねぎの違いが味に現れることをご存じだと思います。この機会に、「よくねた玉葱」を手に取ってみてください。秋の玉ねぎと変わらないおいしさに、驚かれるはずですから。

塚田シェフが指揮を執る「ブラッスリー コロン ウィズ ル・クルーゼ」の姉妹店「ブーランジェリー コロン」では、よくねた玉葱の持ち味を生かした「よくねた玉葱とベシャメルソースのクロワッサン(324円税込)」を札幌市内全店で近日発売予定です。じっくり加熱して引き出したよくねた玉葱の甘みが、ベシャメルソースの味わいを一層ふくらませています。手の込んだ贅沢な一品、ぜひお試しください。

※写真はイメージです
2020年5月5日~7日まで記載していた「ブーランジェリーコロン」の商品名と販売価格が、上記内容に変更になっております。お手数お掛け致しますが、販売期間、販売店舗などの詳細情報については、下記のウエブサイトよりご確認ください。
> ブーランジェリー コロン