こんにちは。澤向さんのご出身地、浜中町のご紹介からお願いできますか。
はい。浜中町は北海道東部にあり、太平洋に面した町です。町の誇りといえる酪農と漁業が盛んで、ラムサール条約に登録されている日本有数の大きな湿原・霧多布湿原もある、広大な自然が魅力の町です。ちなみに下の2枚の写真は、私がスマートフォンで撮りました。
なぜ、JAの職員になりたいと思ったのですか。
小さな頃から、JAが身近にある環境で育ってきました。地元のお祭りや買い物をするにもJAは欠かせない存在で、私もこのように人を支えられる人になりたいと思ったのが一番の理由です。また、高校時代に日商簿記検定3級に合格したことから、その知識を活かして酪農家さんたちを裏方から支えたいという思いが強くなりました。さらに簿記以外の知識も習得し、多方面で酪農家さんから頼れると思ってもらえる職員になりたいと考え、北海道農業協同組合学校(以下JAカレッジ)に進学しました。
JAカレッジは、一般の短大や大学とどのような違いがありますか。
毒物劇物取扱者(農業用品目)や危険物取扱者(乙種第4類)他、JA職員になってから役に立つたくさんの資格を1年間で取得できます。また、授業では農業実習があり、ゼミごとに一区画の畑を預かり、ゼミ生が育てたい野菜を育てます。私が所属しているゼミでは、さつまいもやきゅうり、ミニトマトなどを育てました。私は大好きな簿記を担当されている高井先生のゼミで、学校見学の時から先生には優しくしていただいています。
畑で育てた野菜は、皆さんで食べるのですか?
学校の寮の食堂で、学生、研修生、先生方で食べることになっています。私たちが育てたさつまいもは、大学芋で食べたいと食堂の方にお願いしたところ、大学芋が2回も登場して、本当に幸せでした(笑)。
JAカレッジには、内定先のJAを研究し、2月に発表を行う「JA研究」があるそうですね。
はい。私は、全国屈指の生乳生産量を誇るJA道東あさひの内定をいただきました。JA道東あさひは、2009年に4JAが合併したため、事業区域が広いのが特徴です。「JA研究」では、JA道東あさひの商品がないことから、牛乳を活用した商品を自分なりに考えてみようと思いました。
どのような商品を考えているのですか。
JA道東あさひにその旨を伝えると、「スーツケースにも入るような薄いパッケージにできるもので、かつ、高級に見える商品」という具体的な条件が出され、レトルトクリームシチューはどうかと検討しているところです。また、それとは別に、牛乳を使ったラスクも研究中です。ゆずのはちみつを加えてよりさっぱりさせ、さらにハスカップで牛の模様を描こうかと構想中です。
どんどん、アイデアが湧いてくるんですね。
牛乳を使って練乳プリンを作り、いちごや抹茶、コーヒーなどの味を添えてもおいしいものができるのではないかと思います。私はお菓子作りが好きなので、こうしたことを考えるのは楽しいです。下の4枚の写真も、私が作ったお菓子です。
お話を聞いていると、さまざまなところにアンテナを伸ばしているようですね。
日本農業新聞の記事から、酪農に関する事柄を日誌にまとめたりしています。ある乳業メーカーがキャンプ飯を通じて牛乳の消費や用途拡大を図るキャンペーンを行っていることを知り、全国のキャンパーの皆さんへ牛乳・乳製品の魅力を広くPRできるいい取り組みだと感じました。
JAカレッジで学んで、北海道産農畜産物に対する印象や捉え方は変わりましたか?
「農業実習」や「農業概論」などの授業を通じて、これまで触れ合うことがなかった畑作も酪農と同じく手間がかかること、楽しいことを知りました。実家は小さな畑を持っていて、私もそこで野菜や果物の栽培の手伝いをしていたので、それなりに知識はあるほうだと思っていたのですが、まだまだだったと痛感させられました。また、「酪農第一」の考えは変わっていませんが、いままでよりももっと酪農に興味が湧いたことが、変わったといえば変わったことかもしれません。
JAカレッジで出会った仲間たちには、どんな思いがありますか?
母校も違えば故郷も違う、でも、JA職員になりたいという同じ目標、信念を持った学生たちが集まり、しかも全寮制ですから、何年も前からの友達のように楽しく過ごしています。思い出といえば、全員で2週間缶詰のようになって勉強した毒物劇物取扱者(農業用品目)や危険物取扱者(乙種第4類)の試験期間です。1週間で説明を受けて、1週間で試験対策をするもので、とても大変でした。でも、終わってみればためになる期間でしたし、合格してみれば自己肯定感にもつながる、いい期間だったと思います。
今後、北海道農業の発展にどのように取り組んでいけたらいいと思いますか?
酪農家の方たちの助けになりたいという気持ちから、牛乳消費につながるような取り組みやPRにかかわりたいです。高校時代、地元・浜中町の情報を発信しようと、地域のPR動画とポスターを作成した経験があります。来春以降は、JA職員として、牛乳の魅力を伝え、牛乳を飲みたくなる・食べたくなる・買いたくなる動画を是非作ってみたいです。
やりたいことがいっぱいの澤向さんのエネルギーを北海道農業に注いでください。今日はありがとうございました。