Vol.2 知内にら
「北の華」
北海道の星みっつ旬野菜
道内各地の生産者と太いつながりを持ち、北海道の農を熟知する塚田宏幸シェフが、今こそ味わいたい、おいしさ星三つクラスの野菜を毎回ピックアップ。生産者や生産地のエピソードとともに、調理のヒントもお伝えします。
vol.2
知 内 に ら
「 北 の 華 」

知 内 に ら「 北 の 華 」

函館市から車で南へ約1時間。津軽海峡に面して広がる知内町は、全道一のにらの産地。長年、生産者とJAが産地づくりに励み、知内にら「北の華(はな)」のブランドを確立しました。3月までは、休眠中に栄養を蓄えた株から最初に出る「一番にら」を楽しめます。

インスピレーションも
くすぐられ

野菜が届くと、五感を使って野菜の身の上をじっくり確かめる。それが、私のルーティンです。この野菜のこんないいところを引き出すためにどう調理しようかと考えるのが、好きなんです。

 

今回届いた知内にら「北の華」は、まず、まな板の上に寝かせました。葉をなでると、肉厚であることが指のはらから伝わってきて、それがピンと伸びた葉先まで続きました。次に両手で束を持ち上げ、真ん中で折り、鼻を近づけると、にんにくに似た香りが弾け、やがてリンゴのようにさわやかな香りが現れました。葉をちぎって口に含むと、たまねぎを生のまま噛んだ時のような刺激が立ち上がり、加熱すると甘みが前面に。そう、このバランスこそ、知内にら「北の華」の証です。

 

刺激的な香りと風味をどう生かすか。にんにくの代わりに、生のまま使うのもひとつの方法です。2016年の北海道新幹線開業イベントをプロデュースした際、道南の牛肉に合わせる道南らしいソースを作ろうと思い、知内にら「北の華」を生のまま刻み、香りが似ているリンゴで造った酢、鶏だしを煮詰めたものと一緒にピューレにし、醤油やごま油、アーモンドなどで味を調えたソースに仕上げました。かなり刺激的な風味でしたが、牛肉にもよく合い、我ながらおいしくできたとホッとしました。

私たちには、にらは身近な野菜ですが、ヨーロッパでは中国食材と分類されているのか、私もフランスやイタリアでの修業時代にその姿を見かけたのは、中華系のお店くらいでした。でも、にらは、ゆでても香りが飛ばないので、私は魚のソースにすることもありますし、レモンや生姜、パセリなどの強いハーブともよく合います。ヨーロッパでもにんにくの香りは人気ですし、入手しやすくなれば、人気が出るように思えます。

 

知内にら「北の華」は、ボリュームがある葉が自慢です。うかつにもソースの話ばかりしてしまいましたが、ご家庭ではおひたしで持ち味をまるごと味わってみてください。ちなみに地元では、卵を溶いた醤油に付けて食べる方が多いそうですよ。