日本の食料基地ともいえる北海道。年間320万トンの農畜産物が全国各地へ輸送され、その約半数がトラック・フェリーによるものです。釧路港と茨城県日立港を約20時間で結ぶ「ほくれん丸」は、1993年の就航以降、都府県へ安定的に道産品を供給してきました。その輸送量は2015年の実績で、生乳・液乳などのタンク輸送が約1万4,000台、農産物などのトレーラーが約2万5,000台にのぼります。
北海道産農畜産物は輸送コストを抑制するため、多くはトラックでの輸送がなされています。小ロットでの輸送においては、JA間の積み合わせを行う混載便の輸送体制をいち早く導入し、輸送コスト低減を実現しています。また、ドライバー不足への対応として、馬鈴しょ・玉ねぎ輸送においては、出荷地から到着地まで荷物をパレットに乗せたまま輸送を行う「一貫パレチゼーション輸送」を導入し、荷役作業の省力化を図っています。今後も安定した輸送力の確保を行っていくためにも、導入率100%を目標に取り組んでいます。
北海道産農畜産物の海外輸出拡大に向けた活動にも積極的です。まず11月にシンガポールのJ-martで開催された北海道フェアでは、ホクレンの現地駐在員らが北海道米をPR。こうした取り組みが実を結び、同国のスーパーマーケットでの定番導入が決定し、2016年5月より、無洗米を中心とした北海道米の本格輸出が始まりました。一方十勝産の豚肉は、外食チェーンの豚丼用として香港へ。2015年度の輸出量は4トン、2016年度はその倍量が契約済みです。牛肉は4年前から海外販路の開拓を始めました。現在シンガポールには「Hokkaido BEEF」というブランドで交雑牛を、タイとベトナムにはホルスタイン牛を輸出。牛肉の商品化に関するガイドブックを製作して配布するなどさらなる普及に努めています。またホクレンが手がける北海道産LL牛乳の輸出先は香港が中心。2015年度の輸出量が4年連続前年比増の2,000トンを記録し、2015年発売のチョコレートミルク味や低脂肪乳も好評です。
本来なら市場に出回らない時季に、食味のよい道産野菜をお届けできないか。そんな思いから開発されたのが、CA貯蔵で甘みを引き出した馬鈴しょ「よくねたいも」、冬至の頃においしいほこほこ食感のかぼちゃ「りょうおもい」、辛みの少ない白い玉ねぎ「真白」の3商品です。いずれも北海道から九州まで全国各地で販売伸長してきています。今後も一層のブランド力の強化に取り組んでいきます。
これまで、品質が劣化しやすいブロッコリーの輸送には氷詰め発泡箱の利用が主流でしたが、新たにMAフィルムを用いた輸送技術を確立しました。従来法よりも見た目や味の劣化が少なく、コストや労働負担の削減にもつながることから、2016年度は既に2つのJAが導入を決定しています。今後はアスパラガスやスイートコーンへの展開に向け、研究を進めていきます。
砂糖の日本の自給率は約40%で、その約8割が北海道のてん菜からつくられています。斜里町と清水町の製糖工場ではグラニュ糖、上白糖、オリゴ糖を含むてんさい糖などを製造。秋から春にかけての製糖期には交代勤務による24時間体制で、工場をフル稼働しています。また2012年に業務用ビートグラニュ糖で認証取得した食品マネジメントシステムFSSC22000も継続取得。安全・安心な砂糖を全国の食卓にお届けしています。
ホクレンのたまごはHACCPシステムを取得し、衛生管理や品質管理を徹底しています。豚肉は飼料自給率向上のための取り組みが進行中。北海道米15%配合の専用飼料で飼育される「う米豚」も、安定的に販売を続け認知度を高めています。また牛肉は、国規定より一歩進んだ北海道のトレーサビリティシステムで管理し、解体後は衛生管理が行き届いた施設で加工。安全が確認できた牛肉だけを出荷しています。
冬の北海道で鮮度のよい地場産野菜を販売しようと、数年前から冬野菜への取り組みを強化しています。ブランド化された越冬キャベツ、だいこんの販売や、伊達市ではほうれん草の栽培も。冬のほうれん草は生育期間が長く、葉に糖分を蓄えるため甘みが強くなります。2013年には30棟に満たなかったハウスが2015年は62棟に増えました。今後も生産者と協力しながらおいしい冬野菜の栽培、普及に努めます。